Googleによると検索語句の70%はリスティング広告で入札しているキーワードと完全一致しないと言われています。
つまり人の手によってキーワードを選定しても、完全に一致することは難しいということです。
想定外のキーワードで検索するユーザーにも広告を配信できるのが、動的検索広告(DSA)です。動的検索広告(DSA)は、あらかじめ設定したWebページに近いキーワードで検索したユーザーに、自動で見出しや広告文を作成し表示してくれます。
動的検索広告(DSA)をうまく活用するためには、その特徴を理解し正しく設定する必要があります。
この記事では動的検索広告(DSA)のメリットやデメリット、設定方法を詳しく解説します。
動的検索広告(DSA)の効果を向上させるポイントについても解説しますので、参考にしてください。
目次
動的検索広告(Dynamic Search Ads)は、Googleの検索連動型広告の種類の1つです。
広告の対象となるWebページを登録すると、Webページの内容に近い内容で検索したユーザーに対して広告を自動で作成し配信されます。
見出しやURL、キーワードの登録が不要なため、時間や手間をかけず関連性の高い広告を作成可能です。
人間の手でキーワードを登録した場合、どんなに細かく管理しても取りこぼしが発生します。動的検索広告(DSA)では、想定していないキーワードで検索したユーザーにも広告の配信ができるため、広告の表示回数を増やせます。
ここでは、動的検索広告(DSA)が表示される仕組みやターゲティングの仕組み、広告ランクに与える影響を解説します。
ユーザーが自社のWebサイトの内容に関連性の高い語句で検索すると、Webサイトの内容に基づき、関連性の高い広告見出しや広告文が自動で生成され、表示されます。
例)洋服を販売するWebサイトを運営している場合、Googleで「セーター レディース」の語句で検索すると「セーター-レディース」との見出しで広告が表示されます。ユーザーがこの広告をクリックすると、レディースのセーターを販売している自社サイトが表示されます。
「現在お使いの広告グループのランディング ページ」カテゴリを選択した場合、アカウント全体で設定している全Webページがターゲットとなるため、検索流入を増やしたい場合に最適です。
よりターゲットを絞りたい場合は、登録されたWebページの中から特定のカテゴリを選択して設定することも可能です。例えば、カメラを販売するWebページでデジタルカメラが欲しい人をターゲットにしたい場合は「デジタルカメラ」のカテゴリを選びます。
URLによるターゲティングでは、特定のURLの指定や除外URLとして設定することも可能です。特定の文字列を含むURLをターゲットとすることも可能。例えば、メニューに関するページ全体をターゲットにする場合は、URLに「menu」の文字を入れ、すべてのURLをターゲットにします。
また、ページフィードを使い、ターゲットにするURLにカスタムラベルをつけることで、ターゲットにするURLの設定や除外が簡単に行えます。
その他には、ページ内のタイトルや見出し、本文に特定の語句が含まれる場合にターゲットとして設定する方法もあります。
運用しているすべてのWebページをターゲットとすることも可能ですが、配信したくないページ(会社概要、プライバシーポリシーなど)がある場合は除外設定しておきましょう。
動的検索広告(DSA)の広告ランクは、他の広告と同様に検索時のオークションにより決定します。
広告ランクはこのオークション時の入札単価、広告の品質、広告ランクの下限値、ユーザーの検索状況によって決定します。
広告の品質は推定クリック率、関連性、ランディング ページの利便性などを基に算出されます。
動的検索広告(DSA)は、Webページの内容をもとに見出しや広告文が生成されるため、広告とランディングページの関連性も高くなり、結果的に広告ランクも上昇しやすくなります。
動的検索広告(DSA)の仕組みを理解したところで、次はメリットを3つ紹介します。
動的検索広告(DSA)はキーワードの選定や登録、広告文の作成はすべて自動で行われます。必要なことは、登録するWebページの選定と広告の説明文の作成のみです。
動的検索広告(DSA)を利用することで、広告作成の工数を大幅に削減できるため、広告運用にかける時間がない方には最適です。
ユーザーの検索語句とWebページの内容が近い場合に広告が自動で表示されます。多くの場合はWebサイトのコンテンツに基づき見出しが作成されるため、検索キーワードとWebページの関連性が高くなります。
動的検索広告の広告見出し効果を高めるために、見出しとタイトルを次のように調整しておきましょう。
動的検索広告(DSA)は、Webページの内容に対して関連性の高いキーワードで検索したユーザーに自動で広告を表示します。
手動でキーワードを登録した場合、想定外のキーワードで検索したユーザーは取りこぼしてしまいます。動的検索広告(DSA)は、キーワードの登録も自動で行われるため想像もできないようなキーワードまで網羅できます。
新たなキーワードの発見により、Webサイトのトラフィックの増加が見込めます。
キーワード選定や見出しや広告文の作成が不要で手間がかからない動的検索広告(DSA)ですが、デメリットもあります。
ここでは動的検索広告(DSA)のデメリットを2つ紹介します。
動的検索広告は、GoogleがWebサイトの内容をもとにキーワードを自動選定するため、キーワードごとに入札単価を変更できません。
そのため、検索数が多いビッグワードでは広告があまり表示されない可能性があります。入札単価の調整ができないため、他とオークションで戦えないためです。
その場合は、多くの流入を獲得しているキーワードの中から、ビッグワードに近いキーワードを通常の検索連動型広告で入札単価を上げて入稿すると、広告表示の増加を見込めるようになります。
動的検索広告(DSA)と通常の検索連動型広告をうまく使い分けていきましょう。
動的検索広告は、見出しが自動生成されるため、意図しない文章で見出しが生成される場合があります。
広告は見出しの内容によって印象が変わり、クリック率に大きく影響します。見出しは主に検索キーワードやランディングページのタイトルや見出しから生成されることが多いのですが、確実に見出しをコントロールすることはできません。
広告を配信した後は定期的に効果を検証しましょう。
動的検索広告(DSA)を設定するサイトには向き、不向きがあります。動的検索広告をうまく活用するためには、対象とするページをうまく選ぶ必要があります。
動的検索広告(DSA)は、ECサイトや旅行や飲食店などの情報サイトのように商品やサービスが多いサイトの広告運用に向いています。
商品やサービスの数が多い場合、キーワードの数やランディングページが膨大になるため、手動での広告設定や管理が難しくなります。
例えば、ECサイトではサイズや型番で検索するユーザーが多く、型番やサイズを一つ一つ入札することは非常に手間がかかります。動的検索広告(DSA)では、型番やサイズのキーワードを自動で網羅し取りこぼしもありません。
反面、商品やサービス数が少ないサイトは、動的検索広告のメリットをあまり感じられないでしょう。
SEO対策がしっかりと行われているWebサイトは、動的検索広告(DSA)の効果を感じやすいでしょう。
動的検索広告(DSA)の表示の仕組みは、Google広告に設定したWebサイトをクロールした情報をもとに、ユーザーがWebサイトの見出しやコンテンツに関連性の高いキーワードで検索した際に広告が表示されます。
Googleは各ページをSEOのルールに基づきクロールするため、SEO対策が行われているサイトではWebサイトの情報や特性をクローラーに正しく伝えられます。
動的検索広告(DSA)を利用する際には、設定するWebサイトのSEO対策もしっかりと行いましょう。
動的検索広告(DSA)の仕組みやメリットやデメリットがわかったところで実際に設定方法を解説します。
動的検索広告(DSA)の設定は、通常の検索広告とは設定方法が異なるため注意してください。
動的検索広告(DSA)用のキャンペーンを作成する必要があります。すでに作成済みの場合は、動的検索広告(DSA)の広告グループを作成したいキャンペーンを選択してください。
動的検索広告(DSA)用のキャンペーン作成手順
広告グループを設定する際には、すべてのWebページを対象とするのがおすすめですが、広告を表示させたくないページがある場合は、特定のWebページを選択しましょう。
広告グループ設定手順
説明文では、商品やサービスの説明を半角90文字(全角45文字)で記載しましょう。広告の見出しやパス、URLは自動生成するため作成の必要はありません。
広告文の作成手順
運用に手間がかからない動的検索広告(DSA)ですが、さらに効果を上げるためには他の機能も活用して運用していきましょう。
検索広告向けリマーケティングリスト(RLSA)は、サイト訪問歴やサイト内での動向に基づき、新規ユーザーやリピーターに分けて広告を表示したり、入札単価などをより細かく設定したりできます。
動的検索広告(DSA)と組み合わせることにより、自社サイトに関心の高いユーザーが検索したキーワードに対して、より適切な広告文を配信できるようになります。
またリピーターがサイトを訪れる場合の検索キーワードの把握したり、リピーターが思わぬ検索キーワードで検索した際にも広告を表示できます。
新規ユーザーかリピーターかによって広告の入札単価や広告の表示を調整できるため、より適切な入札単価で広告を配信できます。
商品やサービスが多いWebサイトではAIによる機械学習が進みやすいため、自動入札機能を活用することによって検索キーワードに対するオークション時に最適な価格で入札できます。
商品やサービスが多い場合は、キーワードごとに入札単価を設定するのは困難です。自動入札機能を活用すれば、目標に応じて自動で入札単価を設定してくれるため掲載結果の向上が見込めます。
ページフィードを利用すると、ターゲットに対して表示するランディングページのURLを細かく指定しターゲティングできます。ページフィードのURLにカスタムラベルを追加することで、ターゲットを分類、整理も可能です。
ページフィードを活用することで、指定したURLのみで動的検索広告(DSA)が表示されるため、費用対効果の低いページでは広告を表示させないようにコントロールできます。
ターゲット設定は、スプレッドシートまたはGoogleが提供するテンプレートを用いて作成します。
ページフィードのデータテンプレート:https://www.gstatic.com/adextensions/page-feed-template.csv
ページフィードの作成方法と設定方法
ページフィードに必要なデータは次の2点。
Custom labelはセミコロン(;)で区切り、複数のラベルの設定も可能です。このラベルによってターゲティングを行います。
フィードデータが完成したら、キャンペーンの中の上部メニューからアップロードします。
次にページフィードのデータを使いターゲットを設定します。
ターゲット設定方法
参考:Google広告ヘルプ「フィードを使用して、動的検索広告をターゲット設定する」
動的検索広告(DSA)を活用する場合は、次の点に注意しましょう。
配信開始にあたって、Googleによって審査が行われます。Googleがクロールできないページ(404エラーなど)があると審査に落ちてしまいます。
事前にサーチコンソールなどで、エラーの有無を確認しておきましょう。
また遷移先として設定したページがエラーの場合は広告が表示されません。広告運用開始後も定期的にエラーページがないかをチェックしましょう。
動的検索広告(DSA)は、幅広いキーワードに入札されるため、取りこぼしの心配はありませんが、費用対効果の低いキーワードを定期的に除外する必要があります。
売上につながりにくいキーワードには広告を表示させないように除外キーワードを設定しましょう。除外キーワードは、動的広告ターゲットのタブのキーワードレポート、検索語句レポートから追加できます。
またリンク先として表示させたくないURL(例:会社概要やプライバシーポリシーなど)もあらかじめ除外しましょう。
URL除外の設定方法は、「除外動的広告ターゲット」の「追加先」から「URL を個別に指定する」か「対象とするウェブページのルールを設定する」を選択し除外したいURLを入力し「追加」して保存をクリックします。
動的検索広告の改善はレポートを上手に活用することが重要です。
ここでは動的検索広告で活用できる2つのレポートを紹介します。
まずは検索語句レポートです。
検索語句レポートでは検索語句の掲載結果とランディングページの掲載結果を確認できます。
検索語句とランディングページの掲載結果から成果の低いものを洗い出し、除外していきます。
カテゴリレポートではウェブサイトのカテゴリごとに費用と掲載結果を確認できます。
掲載結果を確認しながら入札単価を調整することで、より効果を高めることができます。
参考:Google広告ヘルプ「動的検索広告の検索語句レポートについて」
参考:Google広告ヘルプ「動的広告グループの最適化」
動的検索広告(DSA)は、事前にWebサイトを登録しておくことで、ユーザーが検索したキーワードに対して関連性の高い見出しや広告文が自動で表示される便利な広告です。
関連性の高い見出しが動的に作成されるため広告ランクの向上が見込める点や新たなキーワードを取りこぼさない点などがメリットであり、広告の表示回数が増えクリック率やコンバージョン率の向上が見込めます。
キーワード選定や複数の広告を作成する必要もないため、広告運用に時間がさけない場合でも運用できます。
動的検索広告(DSA)のメリットやデメリットを理解し、自社の広告と相性が良い場合は効率よく運用していきましょう。
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